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生活習慣病について
甲状腺の病気

 甲状腺はのどぼとけの下にある大きさ4cmほどの蝶形の臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺の病気は比較的多く、わが国では成人の10%程度に何らかの甲状腺の異常が認められます。また、男性に比し女性に2-5倍程度多く異常が見つかります。以下によく見かける甲状腺の病気について説明します。

・ バセドウ病

 バセドウ病ではからだの中に甲状腺を刺激する物質(自己抗体)ができ、そのために甲状腺が刺激され、腫れて大きくなりホルモンを必要以上に分泌するようになります。このため、動悸、体重減少、手のふるえ、暑がりなどの甲状腺ホルモン過剰症状が出てきます。また、この自己抗体は眼球周辺にも作用することが多く、目が飛び出て見えるようになることもあります。ひどい場合には心臓の拍動の乱れ(不整脈)を起こし、心不全の状態になることもあります。

 バセドウ病には3種類の治療法がありますが、飲み薬(抗甲状腺薬:メルカゾール、プロパジール)で治療する場合には、少なくとも1年以上薬を飲み続けることが必要で、症状がなくなったからといって勝手に薬をやめることは禁物です。薬で治りにくい場合や、副作用で薬が使えない場合には、手術で甲状腺の一部を切り取って治療することもあります。また、放射性ヨードを服用し治療することもあり、米国などでよく行われています。

 

・ 慢性甲状腺炎(橋本病)

 1912年、日本人医師橋本策によって初めて見いだされた病気です。甲状腺に慢性の炎症が起きて、甲状腺がやや硬く、少し腫れてきます。何年間かこの病気にかかっていると、だんだんと甲状腺の働きが悪くなり甲状腺ホルモンが足りなくなってくることもあります。そうなると、徐脈(脈が遅い)、体重増加、寒がり、便秘、コレステロール増加などの甲状腺ホルモン不足症状が出てきます。定期的に血液検査などで甲状腺ホルモンの不足がないかどうか調べる必要があります。一部の患者さんでは、昆布類などヨードの多い食べ物を食べすぎた時に甲状腺の働きが悪くなることもあります。ホルモンが不足している場合には甲状腺ホルモンの薬を服用する必要があります。

 

・ 亜急性甲状腺炎

 ウイルス感染などにより、甲状腺が激しい痛みを伴って硬く腫れてくる病気です。甲状腺組織が破壊されホルモンが血液の中に漏れて出てくるようになり、一時的に動悸、手の振るえなどの甲状腺ホルモン過剰症状が出現します。消炎鎮痛剤で軽快することもありますが、副腎皮質ホルモン剤で治療する必要があることもあります。一時、過剰になっていた甲状腺ホルモンが正常になった後、逆に不足するようになったり、再燃して再び過剰になったりすることもあります。

 亜急性甲状腺炎に似た病気として、橋本病の患者さんが体調の変化などにより、甲状腺の痛みや発熱を起こしてくる場合があり、慢性甲状腺炎の急性憎悪と呼ばれます。

 

・ 無痛性甲状腺炎

 亜急性甲状腺炎と同じように、甲状腺が破壊され血液中に甲状腺ホルモンが漏れて出てきて甲状腺ホルモン過剰状態になります。この場合、首の痛みはなく、血液中にホルモンが増えバセドウ病と同じような甲状腺ホルモン過剰症状が出現します。2-3ヶ月後に甲状腺の働きが一時的に悪くなりホルモン不足となることがありますが、様子を見ているうちに自然に良くなることが多いようです。一部の患者さんでは甲状腺の働きが悪くなったまま元に戻らなくなり、甲状腺ホルモン剤の服用が必要になることもあります。

腫瘍性疾患について

 触診、超音波検査などで診断します。急性のものが多いですが、悪性(癌)の疑いがある場合には穿刺吸引細胞診を行います。甲状腺機能は正常のことが多いですが、甲状腺ホルモンを分泌する腫瘍ができて、甲状腺ホルモン過剰状態になることもあります。

・ 腺腫様甲状腺腫

 甲状腺にしこり(結節)ができる病気のひとつです。軟らかいしこりが複数でき、しこりの中に一部液体がたまったりします。

 

・ 甲状腺嚢胞

 甲状腺の中に液体のたまった袋ができる良性の病気です。

 

・ 甲状腺濾胞腺腫

 良性の腫瘍で、ふつうは甲状腺内に一個だけ結節ができます。一般に、大きいものでは癌との区別が困難なこともあります。

 

・ 甲状腺癌

 乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌などがあります。このうち約80%が進行の遅い乳頭癌です。甲状腺に硬いしこりができ、放置するとまわりのリンパ節や他の臓器に転移することもあります。

 

生活習慣病予防のための食生活
食生活に気をつけましょう

生活習慣病の予防のためには、どのようなことに気をつけて食事をすればよいでしょうか?

1.1日3食規則正しく食べましょう

1日2食では1回に食べる量が多くなりすぎ、糖尿病になりやすくなります。また、間食が増えてカロリーオーバーにつながることも考えられます。

2.適正なカロリーの食事を取りましょう

1日にとる食事カロリーを適正にすることが大切です。カロリーをとりすぎると生活習慣病になりやすくなります。

肥っている人には特に効果的です。血圧が高めの人も、やせるだけで下がる場合があります。

1日に必要なカロリーは年齢・性別・体格・身体活動量などによって異なりますが、標準体重から計算する方法がよく用いられています。

成人が1日に必要なカロリー=標準体重×25~30kcal

標準体重が60kgの人なら、1500~1800kcalとなります。肥り過ぎている人や、活動量が少ない人、高齢者は、少ないほうのカロリーを、活動量が多い人や、若年者は、多いほうのカロリーを基準にします。
標準体重はいろいろな計算方法がありますが、最近よく用いられているのは体格指数(BMI)をもとにした計算方法です。

標準体重=身長(m)×身長(m)×22

(BMIが22の人の寿命が一番長いということから用いられています)
(例:身長160cmの人なら、1.6×1.6×22≒56kg)

炒め物・揚げ物や、マヨネーズ・ドレッシング・バター・クリームなどを使った料理の品数を抑えるとカロリーのとりすぎ防止に効果的です。

3.塩分は控えめにしましょう

日本人の1日の平均塩分摂取量は、11~12gくらいですが、1日6g未満が望ましいと言われています。
塩分は、すべて「塩」からとっているわけではなく、半分は加工食品に含まれる塩分です。みそ・しょうゆ・ソースといった調味料にも含まれています。
加工食品を控えめにして、汁物は1日1杯、漬物は1日1回にしましょう。
レモン・すだちなどの柑橘類や、わさび・唐辛子・しょうがなどを使うと、おいしく減塩できます。
洋食は、和食より塩分が低めなので、脂肪をとりすぎない程度に取り入れると良いでしょう。

4.コレステロールの多い食品は控えましょう

コレステロールは動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因になります。
油を使った料理はなるべく控え、脂肪のとりすぎを防ぎましょう。
脂肪には、肉に多い飽和脂肪酸と、魚に多い不飽和脂肪酸があります。飽和脂肪酸はコレステロールを増やし、不飽和脂肪酸はコレステロールを減らします。肉料理より魚料理がおすすめです。

食物繊維、野菜をよくとりましょう

5.食物繊維をよくとりましょう

食物繊維は胆汁酸とくっついて排泄されるため、胆汁酸のもとになるコレステロールも減らします。野菜やきのこ、海藻、こんにゃくを上手に利用しましょう。

6.野菜は毎食とりましょう

野菜は食物繊維、ビタミン、ミネラルの供給源になります。
緑黄色野菜はカロリーが低いため、カロリーのとりすぎも防げます。

7.アルコールやジュースはとりすぎないようにしましょう

アルコールや菓子、ジュースをとりすぎると、中性脂肪を高めます。果物はビタミンの補給のためにも、1日1個はとった方がいいですが、とりすぎると中性脂肪を高めます。

健康で長生きできる食生活を心掛けましょう!

生活習慣病とは

生活習慣病とは、その名のとおり生活習慣(食生活や運動、喫煙、飲酒、など)が原因でかかってしまう病気のことで、代表的なものに高血圧症、脂質異常症、糖尿病などがあります。(昔は成人病と呼ばれていました。)

こういった病気は自覚症状がはっきり現れにくく、気づかないうちに病気が進んでしまい、放っておくと狭心症や心筋梗塞、脳卒中、などの重大な病気を引き起こしてしまいます。また、いくつかの生活習慣病が重なると、心臓病や脳卒中になる危険が一層高くなります。

生活習慣病は、飲みすぎ、食べすぎや偏った食事、喫煙、飲酒、ストレスといった生活の乱れや長い間の生活習慣が原因となるので、予防には、こういった生活習慣の改善が大切です。規則正しい生活を心がけ、自分は大丈夫と過信せずに、いつも生活習慣全般に注意を払いましょう。

あなたの生活習慣をチェックしてみましょう

以下のような生活習慣になっていませんか?

check!

□ 朝食を食べない
□ 魚料理より肉料理が好き
□ 食事をとる時間は決まっていない
□ 夕食をとるのが遅い
□ お酒はほとんど毎日飲む
□ 運動はほとんどしない
□ 階段よりエスカレーターやエレベーターに乗ることが多い
□ タバコがやめられない
□ ついつい夜更かししてしまう

チェックした数が多いほど、生活習慣病の危険性も高くなります。点数の高い人は要注意です。

生活習慣を見直しましょう

点数のあまり高くなかった人も、もう一度、生活習慣を見直してみましょう。

1.バランスのよい食生活をしましょう

塩分が多く味つけが濃い料理、脂っこいものが多く野菜の少ない食事はよくありません。
1日3食、栄養のバランスのよい食事をとるようにしましょう。飲み過ぎや食べ過ぎは生活習慣病の原因になります。夕食が遅くなった場合は量を控える等の工夫をしましょう。

2.適度な運動をしましょう

医師と相談のうえ、適度な運動をしましょう。
毎日の軽い運動は、気分をリラックスさせ、血圧や血糖値、血中脂質濃度を下げたり、HDLコレステロール(動脈硬化を抑えるコレステロール)を増やす効果があります。
まとまった時間がとれない場合には、日常生活でちょっとした工夫をしましょう。

  • エレベーターやエスカレーターを使わずなるべく階段を利用する
  • 車やタクシーはなるべく使わず、電車やバスを利用する。
  • 電車やバスでは座らないようにし、目的地の一つ手前で降りて歩く

3.体重の変化に気を配りましょう

肥満は生活習慣病の原因のひとつです。
肥満度はBMI(Body Mass Index)という指標で判定されます。
あなたのBMIを計算してみましょう。


BMI=体重(kg)÷ 身長(m)2 (例:体重56kg、身長160cmの人なら、56÷(1.6×1.6)≒22)

4.ストレスをためないようにしましょう

ストレスは万病のもとです。睡眠を十分にとり、リラックスした毎日を過ごしましょう。

5.アルコールはほどほどにして、タバコはやめましょう

ビールなら中ビン1本、日本酒なら1合までが適量の目安です。
喫煙は、HDLコレステロール(動脈硬化を抑えるコレステロール)を減らし、ビタミンCを破壊します。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、動脈硬化を進め、血圧を上げます。

定期健診を活用しましょう

合併症が現れてからでは手遅れです。
自覚症状がなくても定期健診などで、日頃から自分の身体の状態をチェックしましょう。

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